【Slay the Spire】高アセンションでとにかく勝ちたいあなたに
Slay the Spireの攻略法を誰にでも伝わるよう言語化する事は不可能に近い。このゲームへの向き合い方はプレイヤーによって多種多様だからだ。仮に最も難しいとされる勝利条件(アセンション20における心臓討伐)を目標とする場合に限定しても、100回中1回でも勝てれば良しとするプレイングと、10回中最低1回は勝ちを目指すプレイングは全く別物だろう。このゲームで”とにかく数多く勝つ”為の攻略法はあまりに難解で、中々しっくりくる文章を目にする事が無かったのだが、最も基礎的な部分が抑えられた記事をRedditで見つけたので翻訳してみた。ただし昨年1月の記事である為情報が古い部分もあるので思った事や付け加えたい事は青字で追記したり、ピンと来ない部分は所々端折ったりしている。
原文:Slay the Spire: High Ascension Guide
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本ガイドの対象/趣旨
このガイドはSlay the Spireでより多く勝つ事、更には本作の裏ボスである”堕落の心臓”討伐を目指す為のガイドである。紹介しているアドバイスの多くはアセンション20(以下A20)を想定しているものの、A20で通用する考え方はアセンション上げの最中にも同じく通用するだろう。(逆は成り立たないけれども。)このゲームで"完璧”な攻略法というものを言い表す事は到底不可能ではあるが、本ガイドで紹介する基本事項は、低アセンションのクリアが安定しない、A20で中々勝てない、そんなプレイヤーにきっと役立つと思う。
Slay the Spireの遊び方はプレイヤーによって多種多様で、それがまたこのゲームの魅力であるとも言える。ある特定のデッキを組む、既存のシード値を使う、実績コンプを狙う、等々。それはそれで全く以て正当ではあるが、本ガイドは一つ一つのランでただゲームに勝つ事を目的とする、即ち勝率を何よりも重要視している。このゲームの最高難易度でとにかく数多く勝ちたい、とにかく沢山心臓をぶっ殺したい、そんなあなたの為のガイドだ。
先ず初めにこのゲームを進める上で意識しておきたい基礎的な観念を紹介する。次に典型的なランが辿るAct1~3、Act4の道のりを段階的に追っていき、合間に特定の戦闘で有効な戦術やヒントを挟んでゆく。
基本的な考え方
デッキが直面している目先の問題を先ず解決する事が大切であり、長期的な強さに向けてスノーボールしてゆく足掛かりとなる。
あなたがこれから相対するであろう、或いは倒したいと考えている敵を想像してみよう。あなたのデッキはそいつらにどう立ち向かうのか。今すぐに貢献してくれる短期的に強いカード(Act1においては主に瞬間火力カード)を取るか、デッキが成熟した頃により効果を発揮する長期的に強いカードを取るかのバランスは、いつだって悩ましい。
一般的に、たとえそれが短期的であっても今すぐ効果を発揮する選択肢を選ぶ方がゲーム全体を通して有効に働く場合が多い。なぜなら今いるActで強くなり、有利をより大きく広げる事が出来れば、デッキを雪だるま式に強化する事へ繋げられるからである。
以下のシチュエーションを例としよう。
私たちはAct1にいて、たった今フットワークをデッキに加えた。次のカード報酬画面でドッジロールか毒の一刺しかを提示されたとする。どちらの方がより有用か。フットワークとシナジーのあるドッジロール?(先ず真っ先にフットワーク拾う事があまり無さそうだという事はさておき)
マップを見てみよう。近い内にエリート戦が待ち受けている。今のデッキに毒の一刺しを加えればラガヴーリン、ボスグレムリン相手になんとか勝てるかもしれないが、ドッジロールを加えた場合は恐らく負けてしまう。言い換えれば、今ここで毒の一刺しを拾わなければ死ぬか、エリート戦を避けねばならない。
よって今ここで毒の一刺しを拾う事で、エリート戦の報酬でレリックが貰え、より多くのゴールドを入手し、より質の良いカード報酬を受け取る事が出来る。更なるスノーボールを見据えて投資をする事で、見返りを得た訳だ。たとえこの先いつかドッジロールの方が強力なカードになるとしても、今ここで拾えばAct1から十分な見返りを得られず、長い目で見てキャラクターは弱くなってしまう事だろう。
これは些細な選択がラン全体を通して波及効果をもたらす一例であるが、一点強調しておきたい。決して毒の一刺しがドッジロールより優れている、或いはフットワークとドッジロールのシナジーが考慮に値しないと言っている訳では無い。
毒の一刺しの方が正しい選択としている理由は、我々は今Act1にいて、最大限の見返りを得る為にはラガヴーリンやボスグレムリンを倒す必要があるからだ。デッキに火力が十分揃っており、その時点で毒の一刺しを加えなくともこいつらに勝てると考えている、或いは何らかの理由でエリートと戦うつもりが無い(普通は推奨されない)場合には、ドッジロールの方が有効なピックかもしれない。
はっきりさせておくとAct1の対エリート戦は確かに短期的な強さが重要視される主要因ではあるが、雑魚戦も同様に瞬間的な火力、防御手段を多数揃える事で被害を抑える事が出来る。高いHPを保つ事で篝火マスを鍛冶に割く余地が生まれるし、あるイベントではHPを引き換えに報酬を得る事が出来る。
エリート戦の美味み
でもこいつらと戦うと殺されるんだが?いいえ、戦わなくても殺されます。それが後に起こるだけの事。(しかし本当に殺されていては元も子も無いので場合によっては避ける事も大事。万が一に避けられるルートを選択すると吉。)
今あなたがいるマスと次のボスまでの間のマスを、決してクリアの邪魔をするただの障害と捉えてはいけない。あなたはそのボスを倒す為、更にはその先のActを乗り越える為に強くなる必要がある。一つ一つのマスは、それを為すべくゲームから与えられたチャンスだ。つまりHPは強くなる為に消費されるリソースとも言える。
エリート戦の報酬は、他の通常マスから得られる報酬の概ね2.5~3倍の価値が付けられる。(レリックの獲得、通常の約2倍のゴールド、3倍のアンコモン/レアカード出現率)言い換えるとボスに至るまでに限られたマス数の中、エリート戦は単一のマスから得られる見返りの密度が最も高い。よって、エリート連中に打ち勝てるようデッキを調整し、可能な限り数多く撃破していく事で限られたチャンスを最大限に活かし強くなれるという訳だ。
当然、このようなプレイングによってより多くのHPが失われ、休憩マスのより多くをHP回復に費やす事となるだろう。しかしエリート戦の度に回復を挟むものと仮定しても基本的にはエリート戦で得られる報酬の方が1回分の鍛冶より遙かにインパクトが強いので、それだけの価値は大いにある。(場合に依ると思う。)
フロントロード(瞬間的)とスケーリング(持続的)
StSを語るプレイヤー達からはよくこれらの言葉を耳にするだろうが、確かな訳がある。これらはデッキの能力を測る指標である。用語が何を意味しているか、何故そう呼ばれるかは次のいくつかのシチュエーションを想像すると分かり易い。
StSのとある戦闘では迅速に25ダメージを与える事を要求される。別の戦闘では100ダメージを、また別の戦闘では数百ダメージを与える事を要求される事もある。これら3つのシチュエーションで有効な戦術はそれぞれ異なる。25ダメージを最も早く与えられるカードは、200ダメージを与える事が必要な場合にあまり効率的な手段とは言えない場合が多い。
同様の事が防御/軽減手段にも言える。ある戦闘は3ターン掛けて40ダメージを与えてくる。別の戦闘では5ターン掛けて60ダメージ、また別の戦闘では10ターン掛けて300以上のダメージといった場合、敵からの攻撃を可能な限り防御/軽減したいという時に、それぞれのシチュエーションで有効な手段は全く異なるであろう。
ここでフロントロード(瞬間的)とスケーリング(持続的)の観念が浮かび上がる。我々はエナジー(と時々ターン数制限)が許す中で、多種多様な敵に対しどのように発揮される攻撃/防御が有効かを見極め、リソース(HP、ゴールド、ポーション等)を如何に効果的に活用出来るかを試されるのである。以上を踏まえ、
フロントロードとは、使用したそのターンに即時もたらされる効果を指す。ストライクや脳天割りは瞬間的ダメージだ。不動や未UGの無力化は瞬間的な防御/軽減だ。
スケーリングとは、将来のターンに持続する効果を指す。殆どのパワーカードはスケーリングである。致死毒は使用ターンに5ダメージの瞬間的火力を与えるが、次ターン以降も持続的にダメージを与え続ける。発火は以降に使用する全てのアタックカードのダメージ値を上昇させるので持続的ダメージであると言える。UG済みの無力化、武装解除、不快感は使用ターン以降も継続する持続的な防御手段である。微小ながら瞬間的な効果を兼ね備えているものも多い。
レリックから生み出されるフロントロード/スケーリングも勿論存在する。錨やホーンクリートは単体で瞬間的防御を得られるレリックだ。ケミカルXを所持している時に旋風刃や串刺しを使うと瞬間的ダメージが追加で発生する。単体では瞬間的ダメージでしかない剣の舞は、扇子や手裏剣、苦無と組み合わせる事で瞬間的防御、持続的ダメージ/防御にもなり得る。カードとレリックを照らし合わせながら現時点で自分のデッキにはどのようなフロントロード/スケーリングがあるのか、何が足らないのかをよく把握しておこう。
重要なのは、以上を踏まえ場面に応じてダメージ/防御を効果的に出力する事だ。一般的にフロントロードが整ったデッキはAct1~2の雑魚戦やエリート戦に強く、一方でスケール能力が高いデッキはボス戦で強いと言える。(Act2,3のエリート戦では両方を要求される事もある。)
悪魔化や有毒ガス、クリエイティブAIは一度使ってしまえばその戦闘中は無限に効果が増幅されていく立派なスケーリングだが、衝撃波、劇毒、認知偏向といった一時的とはいえ強力な効果を発揮してくれるカードも決して疎かにしてはいけない。何かを無限に、永遠にスケールさせる事を要求する戦闘はこのゲームには存在しない。弱体付与は持続的ダメージだ。金属化は持続的防御だ。
ある時、これらのスケーリングが不十分に感じるかもしれない。認知偏向のみで勝つ事は次第に難しくなってくるだろうが、その頃は既に終盤戦だろう。デッキに数あるスケーリング要素を組み合わせてスケールが十分か否かを判断する事は可能な筈だ。例えば、容易に弱体を付与する手段があるなら筋力のスケールはそこまで必要無いかもしれない。(同様に幻姿や死霊化のような強力な軽減手段を既に持っていて、かつバースト触媒で速攻を狙えるデッキにはフットワークは不要かもしれない。)何より重要なのは効果的にダメージを与えつつ消耗を抑え、戦闘を終わらせる事である。デッキが持つスケーリングの要素を十分に把握していれば、そのターン中に何を出力(フロントロード)し何へ投資(スケーリング)すべきなのか、判断の手助けとなるだろう。
AOE(範囲効果)と単体効果
複数の敵を相手にする場合には戦闘の進め方に工夫が必要だ。複数編成の難敵が数多く登場するAct2では対応出来るよう入念に準備をしておく事だ。最も手っ取り早い回答は攻撃なら焼身、電気力学、水銀の砂時計等といった範囲効果のあるダメージ源だが、勿論それだけではない。ボウリングバッシュやグレムリンの角は一体一体を確実に倒していく戦術を補強してくれる。金切り声や衝撃波といったAOEの軽減手段も有効だ。手早く敵を倒し自身のHPの消耗を抑えられるなら、複数の敵を同時に攻撃しようが一体ずつ確実に仕留めようが方法は問わない。様々なアプローチがあるが、Act2のスレイバーズのような戦闘を考えるとどちらかにより特化した方が有効と感じる。
カード操作の役割
カード操作とは、手札の質をコントロールしてくれる、或いはより多量のエナジー分のカードをプレイする補助となるカード/ポーション/レリックの効果を指す。これらは直接的に火力や防御を出力するorスケールさせる事は無いが、このゲームを攻略する上で非常に重要な要素だ。
基本的に攻撃はゲームに勝つ為、軽減は負ける事を防ぐ為の効果である一方、カード操作はこれらを必要な場面に応じて適切に使用する補助をしてくれる効果と言える。
ドローやエナジー供給、サーチの他にも保留や廃棄、UGや瓶詰めに依る天賦の付与、手札やデッキにカードを加える効果といった様々な形がある。店やイベントで不要なカードを削除する事もカード操作の一種と言える。
ただしエナジーを消費し1枚しかドローしないカード(受け流し、はやぶさ斬り、未UGのポンメルストライクや冷静沈着等)は、それ自体をドローする際に既に1枚分のドローを費やしている事に注意。デッキを掘り下げる目的でこれらをピックする事は少ないが、単に腐りにくい攻撃/防御手段として、堕落や集中力スケールのシナジー先としてデッキに必要と感じるならば検討しても良いだろう。
カード操作のコンセプトとその強力さについては、Jorbs氏によるウォッチャーの護身の解説動画でよく触れてくれている。護身が生み出すエナジーあたりのブロック値はそこまで高くはないが、このカードに内蔵されている保留効果のおかげで防御手段を必要する場面で適切に効果を発揮する事が可能な為、大変有用な1枚である。(ベータアートはまさに使いたいシチュエーションと一致しているという意味でもとても好き。)
同様の理由で、カードを必要なタイミングで適切に使用する事を可能にするルーニックピラミッドの効果は非常に強力だ。追加エナジーを得るボスレリックを差し置いて取る価値は大いにある。
特筆すべきは、カード操作の恩恵を得る為には何かしら対価を要する場合が殆どだ。エナジーを消費する、ドローする必要がある等々。店でのカード削除はそれなりのゴールドを消費するので、買いたいレリックやポーションと競合する事になるだろう。脱出計画や技巧といった一見入れ得なドローも一部の戦闘では使用に何かしらの対価が付与される場合があるので注意しよう。(選ばれし者、スネッコ、ボスグレムリン、タイムイーター、堕落の心臓等)
目前の問題を解決するツールが既に揃っている場合は特に、これら対価を支払う価値は大いにある。適切なカード操作により高い効果を発揮するカードも存在する。(グランドフィナーレ、ランページ、フレシェット、スタック等)
カード操作はデッキ回しをスムーズにしてくれる。必要な攻撃/防御手段が既にデッキに揃っている時程、その効果はより強力と言える。
ドローソース/エナジー供給量のバランスと、これらを意識しデッキに加え始めるタイミングはこのゲームで最も難しいポイントだと思う。
マスの選び方
前述のようにデッキを強化する事が出来るマス数には限りがあるので、目前の難所(エリートやボス)との間のマスを有効に活用して戦力を整えていこう。ボスに辿り着くまでにデッキを最大限に強化してボス戦に臨みたい。
最も優先すべきは、エリート戦を十分数こなす事。各Act最低2回が望ましいし、可能ならば3回以上戦っていきたい。(勿論ルートに恵まれない、そもそもデッキが弱いといった理由で避けざるを得ない状況もあるので柔軟に考えよう。)エリートマスを2~3回通れるが、万が一に避ける選択の余地が残されているルート取りが理想だ。デッキにカードを加えていく(主にダメージカード)、ポーションを温存する等、エリート戦に向けて入念に準備を整えよう。
次に休憩マス。アップグレードされたカードの価値はデッキ枚数が少ない序盤ほど高い。(長期的にデッキに存在し続ける為、また序盤ほど手札に回る頻度が高い為)ただ、追加でエリートを踏めるならば休憩に費やす価値もある事を気に留めておこう。エリート戦の報酬は1枚のUGよりもデッキの強化に貢献してくれる事が多い。(勿論場合に依る)休憩→エリート→休憩の並び(エリートサンドイッチ)は美味いので積極的に狙っていきたい。
次に店だが、訪れるタイミングには注意しよう。大体300g程溜め込んだ状態で訪れる事が理想だ。数字自体については任意だが、少なすぎても多すぎても宜しくないという事は意識しておこう。ゴールドを適切に費やしデッキを強化する事が出来なければボスまでの1フロア分を無駄に過ごしてしまう事になるので、細かく通い過ぎる事はなるべく避けよう。逆に一種のリソースであるゴールドを大量に抱えたままでいる事も良くない。
店で購入することが出来る専用プールのレリックや無色カードの中には、デッキによっては勝敗を決する程重要なものが多数ある。そろばん、深呼吸、剣の一閃、技巧、狂気等は無限ループの必須パーツになり得る。ディフェクトは認知偏向のデバフを帳消しにする手段としてオレンジ色の丸薬や機械仕掛けの記念品が何としてでも欲しい場面が多いし、ルーニックコンデンサも要らないシチュエーションが想像出来ない程強力だ。これらパーツが揃うだけで一気に勝ちに近づく場合には思い切って複数回続けて店に立ち寄ってみるのも良い。
最後になるが、戦闘マスを踏んでしっかりとデッキにカードを加えていこう。ゲーム全体を通して何度も機会はあるので最後に挙げたが、特に低層では重要な事だ。?マスを過剰に踏んでいてはあまりエリート戦の準備にならないので、敵が弱い内に戦ってカードを加えていった方が良い。
このゲームの雑魚戦は、弱プールと強プールに分かれている。Act1は3戦目まで、Act2,3は2戦目まで敵は比較的弱めで数も少ないが、以降は強い敵は現れたり数が増えたりする。特にAct1,2でデッキが十分に強くない内は強プールの雑魚戦は消耗が激しいので、強プールに突入する前に休憩、店、?マスを適宜踏んで準備を整える事をオススメする。
ネオーボーナスの選び方
情報が古く、考え方が違っていた部分もあったので省略。浅めの店が見えてる場合には一気に戦力の補充が狙えるのでゴールド、特に250Gは有力。最近は無色レア選択も好き。腐る事が少ない0マナドロー・サーチはゲーム通して有用だし、強欲の手、爆弾は序盤こそ欲しいダメージ源だ。神格化は言わずもがな。初期レリック交換は一時期狂ったように選択していたが下振れが原因で負ける事も多く、基本的には選ばない方が勝率は回復した。ヲッチャーは下振れても勝てるパワーを感じるので別。
各Actの指針
Act1「序章」
上に散々書き連ねて来たが、フロントロード力が何よりモノを言う。Act前半は速攻火力を集めていく事を目標にしよう。殆どの戦闘は高い単体ダメージソースが有効だが、強プールの一部戦闘(主にスライム、グレムリン軍団)ではAOEダメージが役立つ事もあるので序盤の内にこれらを加えておくと手堅い。もし見つけられなかった場合はダメージに直結するポーション(火炎、爆発、アタック)を切る事で一時的にAOEの不足を埋める事も出来る。
Act1で最も重要な課題の1つは、ボスグレムリンやラガヴーリンにどうやって勝つか、だ。両方とも戦闘が長引く前に倒し切る火力が要求される。特にボスグレムリン戦を意識する場合、デッキに加えるスキルはそれが本当に必要かどうかを厳しく吟味したい。
ボスグレムリン戦、ラガヴーリン戦に向けたデッキ構築は、大体はAct1ボス戦にも通用する。ただしヘキサゴーストのHPは264(A9以降)と高く、やられる前に倒し切るには何かしらの火力スケールを必要とする。スライムボス戦では分裂前により高いダメージを与えられるだけの瞬間的火力が重視される。先述のダメージになるポーションを温存しておく事も有効だ。ガーディアン戦は適切に攻撃/防御を使い分けられるデッキのバランスが重要だ。一言も言及されないのは可哀想なので追記してあげた。
Act2「シティ」
この段階で、単体に向けた瞬間火力は既にデッキに揃っている事だろう。よって以降は(もし無ければ)複数の敵に有効なAOE瞬間火力、ダメージ軽減手段を揃えていく方向へ転じていく。AOEの代わりになるもの(ボウリングバッシュ、グレムリンの角、等)は一部存在するとはいえ、実際のAOE(電気力学,死体爆破,終結,等)を確保しておくと複数編成の難敵への対処がより楽になるだろう。
Act2の雑魚戦は弱体/脆弱といったデバフを付与してくる敵が多く、被弾を免れない事が多い。雑魚戦とエリート戦の危険度の差はAct1に比べかなり縮まっていると言える。Act2には見返りがとてつもなく大きいイベントが多数ある事も踏まえると、個人的には雑魚戦よりも?マスやエリート戦を踏むことをより優先している。(まあ、そうかも。)
Act2のエリート戦は、デッキにAOEを加えていきたい理由の半分を占めている。グレムリンリーダー戦は、ミニオン達を効率的に処理し本体が攻撃行動を仕掛けてくる確率を制限する事が何よりも鍵となる。スレイバーズ戦は開始1ターン目からこの時点では破格の打点を押し付けてくる為、瞬時に50ダメージを与え一体を最速で落とし切る(大抵は後ろの赤)、さもなければ約40ブロックを毎ターン供給する事を求められる。とはいえ打点の発生源は3体別々故に数を減らせばダメージ量も減る。結局の所攻撃こそが最善の防御策なのである。スレイバーズ戦は熟練プレイヤーの間でも口を揃えて挙げられる、このゲームで最も危険な戦闘だ。適切なポーションを用意していなければ、生半可なデッキでは容赦無く叩き潰されるだろう。最大HPから一気に即死する事も決して珍しくはない。(2回経験有り)あ、これスレイバーズに勝てんなと感じたらエリート戦を避ける事も視野に入れよう。
刺創の本は毎ターン加算されてゆく打点量が大きく、無策ではそれなりに危険な戦闘だ。ヘキサゴーストを一回り小さくしたHP量とはいえやはり瞬間火力のみで削り切れる程でも無いので、迅速な持続的火力の準備が必要となる。Act2のボス戦も同様に、膨大なHPを迅速に削り切れる程にデッキの持続的火力が十分であるかを試してくる。時間制限がある訳では無いが、コレクター戦、オートマトン戦で何ターンも生き延びる事は難しいだろう。(コレクター戦はデバフ下の5~9ターン目さえ耐えられればあとはもう勝ちな印象)Act2ボス達は各々固有のギミックを持ち、それぞれ対策が異なる。
コレクター戦:簡単に言えばグレムリンリーダー戦の延長線上にある。ミニオン達を効率的に処理し再召喚にターンを使わせる事で、本体から攻撃を仕掛けられる確率をコントロールする事が鍵となる。(特にデバフを掛けてくる4ターン目以降)
チャンプ戦:攻撃パターンが苛烈になる体力半分(HP220)以降、迅速に0まで削り切る速度を試される。キャラクターやデッキによって様々だが悪魔化やリミットブレイク、ダークオーブといった、無限に、着実に増幅される攻撃手段があれば十分だ。逆にスケールが不十分で頭打ちしてしまうデッキだと苦労させられる。(発火やデフラグの数に限りがある、手裏剣や苦無のようなレリック由来のスケール要素が無い等)アイクラは戦闘中のデッキ圧縮が実質スケールとなってくれる事もある。ウォッチャーのウィンドストライクはあまり見向き去れないカードだが無限にスケールしてくれる故に対チャンプ戦においては鍵になり得るカードだ。チャンプ戦が見えていて、現状デッキのスケール要素に不足を感じる場合は対策をよく考えて臨もう。
オートマトン戦:58のダメージ予告を叩き付けてくるハイパービームのターンを如何に凌ぐかが鍵となる。幽霊瓶、幻姿、バッファー、ブロックを沢山溜める、脱力を掛ける、残HPを確保する等手段は様々だ。以降もバフと2回攻撃を繰り返し、際限なく苛烈になってゆくのでやはり十分な火力スケールを用意し早急に決着を付けたい。
Act3「彼方」
この時点で瞬間/持続的火力は共にある程度は揃ってきているだろう。これらをより効率的に、迅速に発揮する手段を加えれば火力に関しては十分な筈だ。(触媒やリミットブレイク等)ここからはAct3ボス戦や堕落の心臓戦のようなより長期的で苛烈な戦闘に耐えられる防御/軽減手段を揃えていく。
この段階から持続的な防御/軽減手段(バリケード/カリパス、大量のフロストオーブ、不快感、拒絶の掌、武装解除、等)が真価を発揮し始めるが、これらを準備する間にも瞬間的な防御/軽減手段(特に金切り声、幻姿、成長させた遺伝的アルゴリズム、等)を十分に持ち合わせていれば大いに助けとなってくれるだろう。
大抵の場合注意すべき戦闘はレプトマンサー戦だ。瞬間的なAOE火力無しにここまで辿り着いたならば、出会った瞬間死を覚悟しよう。最悪2ターン目に100近くのダメージ予告を突き付けられ大崩壊は免れない。ダガーを効率良く落としつつ本体のHP200を削り切る何かしらの手段を要求される。はっきり言って、瞬間的AOE火力、本体を倒し切る手段(長くても3ターン以内)、幻姿のような防御策、最悪煙玉、どれも持ち合わせていない場合はAct3のエリートと戦う権利すら無い。レプトマンサーに遭遇し、あなたは殺されるだろう。
Act3のボス達も各々固有のギミックを持ち、デッキが取れる戦術に制限を掛けてくる。更にA20では2連戦となり、2戦目に対面するボスを察知する事が出来ない。あなたは3種の内どのボスに対峙したとしても勝てるような策を用意し、デッキを調整しなければならないのである。
タイムイーター戦:この戦闘の存在自体が多くのカードを扱い辛くしている。A20においてデッキを爆速で回す事で無限コンボを成立させる事があまり得策でない理由の1つが、66%の確率でタイムイーター戦に相対してしまう事だ。必要なターンにカードの使用枚数制限が少なくなり過ぎないようタイマーに気を配る必要があり、戦闘中における自己のプレイングスキルが試される敵でもある。特定の構築へのメタっぷりから一部プレイヤーからは異様に嫌われているボスだが、このゲームをより奥深く、一筋縄じゃいかない作品へ立派に引き立てる存在として私は必要だと思ってる。ループで勝つ方向へ傾倒しつつある状況で、じゃあどうやってタイムイーター倒すんだ??心臓は??って頭を悩ませている時は楽しいし、策が功を奏して勝利した時の達成感こそがこのゲームの醍醐味だ。
目覚めし者戦:A19以降はこちらのパワー使用による筋力上昇値が1→2となり、これが大変厄介だ。単体で効果量の薄いパワーカードは第一形態時には使用せず、Act3以降はピックを控えた方が良いだろう。もう一つの注意点は、復活を挟みHP320×2(+50↑×2)の総HP、更に毎ターン再生15を持つ事によるタフさだ。廃棄により限られるリソース(幻姿、金切り声、未UGのリミットブレイク、触媒、等)や持続的なデバフ(不快感、武装解除、拒絶の掌、等)の使用タイミングには注意する必要がある。パワーに依存しない、長期的に使い回せる攻撃/防御手段を揃えていこう。ナイフを避け、毒に傾倒し過ぎたサイレントで壁となるのがコイツだ。先ず狂信者の処理に手間取ると被ダメが嵩むのでやはりどういう型であれデッキにfront-loadのダメージは必要だろう。手裏剣や苦無、カリパス等、レリック由来のスケール要素は全キャラに共通して有効だ。
ドヌ&デカ戦:毎ターンある程度の打点が飛んで来る上、めまいも相まって着実に不利になってゆくので、防御と十分なスケールの準備を同時に行えるデッキの完成度の高さが求められる。2体ともアーティファクト3を持つのでドロップキックやヒールフック等で無限ループを狙う構築や持続的防御手段を拒絶の掌に依存し過ぎているデッキは詰みかねない。確りと対策を用意しよう。
Act4「終点」
さあ、ついにここまでやってきた。あなたは次に待ち受ける残り2回の戦闘の為に、今までの全てを捧げ準備を重ねてきた。休憩マスと店で最後の準備を整えよう。ポーションを切らしているならば補充しておくといい。
塔の矛&塔の盾戦:Act3ボスに匹敵する難敵だ。A18以降では場合によっては次に待ち受ける堕落の心臓以上に危険な戦闘かもしれない。デッキトップ2枚を火傷で封じつつイかれた打点を叩き付けてくる2ターン目は、このゲームで最も恐ろしい瞬間とも言える。無策ではここで大崩壊を免れないであろう。対策をいくつか挙げる。
- 1ターン目にわざと被弾する事で千年パズルを、使用するカードを3枚以下に抑える事で懐中時計を発動させ、追加で3枚ドローする。
- Act3ボス2戦目で香炉のカウント数が4になったタイミングで戦闘を終わらせる事で、矛盾戦の2ターン目に発動するようセットする。
- 加速ポーション、賭博師の醸造酒、幽霊瓶を持ち込む。これだけでも危険度を大幅に和らげられる。
以降もモタモタしていると再び火傷2枚+バカ打点で崩壊しかねないので早急に一方を落とし切ろう。ここでもやはりデッキのfront-load力がモノを言う。
Slay the Spireは基本的にこの時点に至るまで、あなたのデッキが毎ターン適切にダメージ/ブロックを出力する事を試し続けてきた。しかしこれらが全く無問題なレベルにスケールが早いデッキは、たとえ他が不得意であってもある程度は見逃されてきた。例えば、バースト触媒+で瞬時に即死級の毒を付与する事が出来るデッキは、ちまちまダメージを与えるデッキほどの防御/軽減能力を必要としない。敵が倒れるまでの数ターンさえ生き延びる事が出来れば十分だからだ。十分な集中力スケールを持ち多量のフロストオーブを並べられるディフェクトは、完成に数ターン掛かるとはいえその鉄壁ぶりに以降ダメージを食らう事は先ず無いだろう。何か一つの事に特化したデッキは、他が不十分でもある程度カバーする事が出来ていた。が、次の心臓戦はそうはいかない。
堕落の心臓戦:毎ターン200を超過したダメージを無効化すると同時に、攻撃ターンには恐ろしい打点数を叩き付けてくる。猛攻を凌ぎつつ早急にスケールし、こちらが力尽きるまで、或いは実質的なターン制限に達するまでにHP800を削り切る事を心臓戦は要求してくる。16ターン目には”さあ、お前はお終いだ”と言わんばかりに筋力+50バフを自身に付与するので、ただ生き延びるだけでは不十分なのだ。(普通のデッキは14~15ターン目の20×15の時点でもうキツイ)アーティファクト等、何らかの手段で1ターン目の弱体デバフを無効化する事ができれば1巡目の67点&3×15点で死ぬ事を防ぎやすくはなるだろう。連撃を凌ぐ手段として武装解除や金切り声筋力低下の付与は大変有効であると同時に、トゲや静電放電、自己形成粘土を活用する事で有利へ転換出来る事もある。これら以外に”裏ワザ”と言えるものはあまり無い。私が助言できるのは、ポーションを適切に使う、良いデッキを構築し上手くプレイするという事だけだ。
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終わりに
様々なプラットフォームへ進出を果たし今では日本でも数多くのプレイヤーに親しまれているSlay the Spireであるが、海外の有名ストリーマー達の後を追うような形で、筆者自身を含めた日本の極一部の界隈でも、A20心臓討伐を目指すプレイの勝率をひたすら突き詰める遊び方が結構な盛り上がりを見せているように感じる。勿論とても一筋縄ではいかないが、勝ちに拘ってみる事でこのゲームの新たな魅力や奥深さに気付いてくれたらとても嬉しい。A20じゃなくても全然結構なので、この記事を読んで心臓に勝てたよ!って人がいたらTwitterにリザルト画面でも送り付けて貰えれば大変喜びます。Slay the Spireのクリアスクショを糧に俺は生きている.....